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続々・樹の散歩道 ハエを殺すキノコたち
| キノコ採りに関しては必ず各地域にベテランのお年寄り(特におばちゃん)がいて、事情をよく知った自分のフィールド≠ナ毎年ほぼ決まった時期に目当てのキノコを探索して、その日のいいおかずにして楽しんでいるようである。当方はそんなおばちゃん達の足下にも及ばないから、キノコは眺めるだけである。そうしたキノコの中にしばしばハエがたかっているものがあることに以前から気付いていた。図鑑で調べてみると、特定のキノコでハエを誘引し殺す作用をもつものがあるようである。【2026.2】 |
| 1 | 殺ハエ作用があるとされるキノコ ハエ殺しの作用については、テングタケ類のキノコで昔から知られていた模様で、世界各地でハエ取りに利用されたとも言われている。食虫植物ではないから、キノコにとってハエを殺したところで何もメリットはないはずである。しかも、それ以前にハエの好きな匂い物質を放つのか、ハエを積極的に誘引しているようにさえ見えるのは不思議なことである。 |
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| (1) | 最も美しい毒キノコ ベニテングタケ | |||||||||
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| (ベニテングタケのあらまし) | ||||||||||
| ベニテングタケ Amanita muscaria アカハエトリタケとも。北半球の温帯から亜寒帯に広く分布する。 学名の種小名 muscaria はラテン語でハエを意味する musca から。 英語名は fly agaric , fly agaric mashroom , fly mushroom で、ハエ (fly, housefly) 殺しに利用したことに由来する。 |
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| (2) | ごく普通の地味な毒キノコ テングタケ | |||||||||
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| (テングタケのあらまし) | ||||||||||
| テングタケはベニテングタケの美しさのために影が薄いが、目にする頻度は高い。よく見れば鮮やかではないが、それでもなかなか美しく愛しく思えてくる。和名の一名ヒョウタケと学名の種小名、英語名のいずれも豹柄に由来する点が共通しているのは面白い。但し、正確にはヒョウは淡褐色地に黒ポツ模様であるのに対して、テングタケは淡褐色地に白ポツ模様で、ポツが反転色である点が全く異なっている。 | ||||||||||
| テングタケ Amanita pantherina ハエトリタケ、ヒョウタケ(豹茸)とも。南ヨーロッパでも一般的に見られるという。 学名の種小名 pantherina はラテン語で豹(ヒョウ)の意で、傘の色に由来。 英語名は Panthercap (豹柄の傘) 中毒症状と毒成分はベニテングタケに同じで、ハエ捕りに用いられてきたことも共通している。 |
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| 2 | ハエの誘引・毒殺能力の確認 | |||||||||
| (1) | 自然状態のキノコのハエ誘引状況 以下の写真は、ベニテングタケにたかっていたハエである。うまみ成分に引き寄せられて、ペロペロやっているのであろうか。いずれも小型のハエである。 |
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| (2) | 調理済み<Lノコでの誘引・捕殺 |
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| ベニテングタケ、テングタケのいずれもがハエの捕殺に用いることができるとされている。電子レンジで熱する方法による実験例を目にしたことから、手に入れやすいテングタケを材料にしてこの方法を採用することにした。 なお、ヨーロッパでは牛乳又は砂糖入りの牛乳にベニテングタケを砕いて浸す方法が一般的であったようである。こちらの方がハエを喜ばすことは明らかであるが、ハエにごちそうを与えるなどもったいない気がするし、そんなことをして遊んでいたら、どこの家でもかあさんに間違いなく怒られるであろう。 皿の上で電子レンジによって加熱されたテングタケは、ブヨブヨ状態となったので、皿のままベランダで放置することとした。以下はその様子である。 |
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| 殺ハエ作用のあるイボテン酸 ( ibotenic acid )はイボテングタケ( Amanita ibotengutake )で初めて発見されてというグルタミン酸に構造が似たアミノ酸の一種で、旨み成分でもあるという。英語の化学名も、学名もうれしいことに和名に由来している。ベニテングタケやテングタケが美味しいという話は、この旨み成分によるようである。 なお、キノコを利用したハエ捕りに関連して、日本では古くからハエトリシメジの煮汁もハエ退治に使ってきた( 図解猛毒植物マニュアル:和田宏 )という。このキノコに含まれるトリコロミン酸はハエ類に対して殺虫性を持つ一方で、イボテン酸が還元したアミノ酸であることから、旨みも有しているという。 本当は、ハエがちょっとなめた途端にヒクヒクと痙攣を起こして、時間をおかずに昇天するという激烈な効果を期待したのであるが、見た限りは穏やかな毒性で、大型のハエに対しては即効性のある強い殺ハエ能力を感じないのは残念なことであった。 実は、そのことよりも実験に際してたくさんのハエに参加してもらいたかったのであるが、付近のハエの生息数が少なくてやや拍子抜けとなってしまった。嫌われ者のハエであるが、来て欲しい時に思い通りにならないのは仕方のないことである。 |
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